はじめに
今、盛り上がっているらしいeスポーツ(エレクトリック・スポーツ)。
ただ、わたしの中ではどうにも違和感が拭えません。
今回はそのあたりのことを考えてみたいと思います。
注目されることの良し悪し
昨年は、「eスポーツ元年」と呼ばれていたそうです。
一応ゲーマーのはしくれとしては、どういう形であれゲーム業界が盛り上がることは歓迎すべきなのかもしれませんが、個人的には不安もあります。
やっぱりまだまだ「ゲーム=悪」だと考えている人って意外に多いんですよね。
最近のドラクエ10にスポットライトが当たってしまった事件もそうですし、なにか少年犯罪が起きるとすぐに「残虐ゲームの影響が~」と言いたがる、いわゆる「反ゲーム」脳の学者やコメンテーターはメディアにゴロゴロいます。
「eスポーツ拡大!」とか言ってあんまりゲームを前面に押し出すのは、そういった人たちを「寝た子を起こす」ことになるんじゃないかと心配しています。
eスポーツの位置づけ
少し話が逸れたのでeスポーツに戻します。
正直、将来的にeスポーツをどういったポジションに持っていきたいのか、どこに置きたいのかということにも疑問があります。
よく「eスポーツをオリンピック競技に採用させよう!」と張り切っている人がいますが、それはわたしは違うと思うんですね。
ちょっと図をつくってみました。
「スポーツ」というくくりの中に「競技」があり、さらにその中に「種目」があります。
「競技」とは、サッカーや野球、テニス、柔道、水泳に陸上といった大きな分野になります。
一方「種目」は、競技の中でさらに細かく設定されたもので、結果的にメダル授与の対象となるものになります。
テニスであればシングルスとダブルス、柔道であれば体重別の各階級。
水泳や陸上も多くの種目に分かれています。
結局、オリンピックへの採用を訴える人たちは、eスポーツをスポーツの中の一競技ととらえて、その下に各ゲームタイトルが「種目」としてあると考えているのだと思います。
でもそれは違うんじゃないかと。
もうひとつ図をつくりました。
eスポーツは、スポーツとは(形式上)並び立つ形の別の大きなくくりであり、その中に各ゲームタイトルが競技として存在するものだと思います。
すなわち、スポーツの大会であるオリンピックに、eスポーツを採用させようという考え自体が筋が違うというか、おかしいのではないかと考えています。
プロモーションの一環
現在確かにさまざまな「eスポーツ大会」が開催されていますが、その大半がゲームメーカー、あるいはゲーミングPCやマウス、キーボードといった周辺機器を販売するメーカーが主催または後援するものになっています。
ユニフォームの会社がスポンサーにつくことはあるけどね
それってやっぱりゲームや周辺機器の販促・プロモーションという意味合いがまだまだ大きいということではないでしょうか。
現状では、今までもあった「ゲーム大会」の看板を掛け替えただけの「eスポーツ大会」が多いというのは事実だと思います。
ルールの未整備
まさに「今までプロモーション優先だったんだな」と思わせたのがこのニュースです。
このニュースを見て一番に感じたのは「今までコントローラって自由だったんだ!」ってことなんですよね。
だってそんな「スポーツ」ありますか?
野球でいえば、バットは木製・金属製好きなのを使ってください。長さや形も自由です。何ならボールも「飛ぶボール」をマイボールで持ち込んでもOKです・・・みたいな。
競技として成立していないですよね。
真っ先に整備すべきところをしていなかったという事に驚きました。
高すぎるハードル
本当にeスポーツを従来のスポーツのような「国際大会」にするためには、越えなければいけないハードルがたくさんあると思います。
様々な意味での「公平性」をどうやって担保するのかという問題です。
例えば、格闘ゲームなどは登場するキャラクターに関して、キャラとしての強さだけでなく、人種や性別、肌の色やLGBT・・・あらゆることに配慮して「公平」にする必要があるでしょう。
また、日本のゲームにありがちな「過剰な未成年キャラクター」も国際基準に照らせばアウトでしょう。
賛同しているわけではないですよ!
こういったベースとなる部分の地固めをおろそかにして、色々な勢力が主導権争いをするかのように大会を乱立させているように見えて仕方がありません。
おわりに
わたしはeスポーツというムーブメントを否定するつもりはありません。
ただ、少し時期尚早だということと、目指している方向性が違うんじゃないかという印象は持っています。
社会への周知や浸透、理解を十分に進めないままに「オリンピック」という目標だけが一人歩きしてしまったせいで、IOCの会長やスポーツ庁の長官にはっきりと否定的な発言をされてしまったのだと思います。
本気で「eスポーツ」を広めていきたいのであれば、各勢力が連携を取りつつ、もう少し丁寧な仕事をしていくべきだとわたしは考えています。
ありがとうございました!